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False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。 キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。



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「戻って来たんだなぁ、俺達」

 俺が何となくそう呟くと、肩にかけた杖がちかちかと鉱石を光らせた。それと同時に若い男の声が頭の中に流れ込んでくる。

『戻って来た、という表現が適切かどうかは知らないけどね。何しろ前に僕達がいた島とこの島は、かなり勝手が違っているようだ』
「でも招待状は同じ筆跡で同じインク、同じ紙で書いてあったぜ?」
『それは送った奴が同じってだけの話だろ。……ま、前と同じように楽しめそうな場所ではあるね』
「……お前の言い方は気に食わねーけどそれは同感」

 何だい君だって口悪いくせに、と俺を罵倒するロージャを無視し、俺は座っていた切り株から腰を上げた。目の前にはだだっ広い夜の草原が広がっている。俺が見慣れた風景と良く似ている。けれど何かが違う。そんな遺跡外の風景だ。
 以前俺達が三ヶ月あまり滞在していた「島」は「メイン装置がぶっ壊れた」とか何とかいう理由で突然活動を停止した。俺達はあっけなく遺跡から追い出され、島を離れざるを得なくなった。前々回の遺跡から出た時の状況と、よく似ている。

 俺はぼうっとしたまま草原を見ていたがいい加減眠くなって来たので、仲間のところに戻ることにした。
 草原に背を向け、ある場所を頭に思い浮かべながら歩き出す。




 そこは不思議な場所で、どこからでも行こうと思えば道が繋がる場所だった。枝を伸ばし木の葉を茂らせた樹が作る木陰だ。心地いい風と水音がいつも流れ、大きな絨毯が敷いてある。
 俺の仲間はその木陰の主だった。

「よ、ただいま」

 俺が声をかけると、絨毯に腰掛けていた白い人影と、その側に控えた黒い人影が振り返った。微かに笑う気配。

「おかえり。外を見ていたの?」

 白い人影、ハイダラが聞いてくる。俺は頷いて彼の隣に腰を下ろした(杖はちょっと邪魔なので樹に立てかけてしまう)。

「ああ、前とどう違うのかなって思ってさ」
「ふむ。何か変わったことはあった?」
『それがさ、よく分からなかったんだよね』

 俺の言葉を遮ってロージャが答える。

『違うと言えば違うし、同じと言えば同じだし。結局良く分からないって感じ』
「まぁ、そう言う事だ。ちっと眠くなったから戻って来ちまったよ。……お、ありがとなカディム」
「いえ――お代わりもございますから、いつでもお申し付けください」

 紅茶を持って来てくれた黒い人影、カディムに礼を言う。彼は一礼するとまたハイダラの側に控えた。
 彼らは前の前の島で知り合った人々で、俺はここ数ヶ月の間彼らと行動を共にしていた。探索の上でも、精神的な面でも俺は二人に頼りっぱなしで――前の島がぶっ壊れた時、バラバラになっちまわなかったのは本当に運が良かったと思う。

「確かに、私も少し様子を見ていたけれど……相変わらずよく分からない場所だね、この島は」

 そう言ってハイダラが溜息を吐く。その拍子に、彼が髪につけた無数の飾りがしゃらりと音を立てた。首から下げたペンダントが揺れ、ランタンの光を跳ね返して光る。
 その様子を俺はぼんやりと見ていたが――ぼんやりしすぎていたせいだろうか、音にするつもりはなかった言葉が、勝手に口から飛び出していた。

「……また一から、だな」

 口にしてから、俺らしくねーなぁ、なんて後悔した。
 ハイダラは重々しく頷き、カディムは黙っている。珍しくロージャも無言だ。俺に憎まれ口の一つでも叩くかと思ったが、今日ばかりは珍しく空気を読んだらしい。
 前の時もそうだった。一度島を出て戻ってくると、島で手に入れたものは形の有無を問わず、何も残されていなかった。
 残ったものと言えば島で出会った様々な人々や出来事の記憶だけだった。
 だが、それだけで気分は楽になる。島とともに失ったものは多いけれど、大事なことは忘れていない。だから今回もきっと大丈夫だ、そう思える。
 それに。

「ま、何とかなるだろ。あんたやカディムもいるしさ!」

 俺がわざと明るい声で言うと、ハイダラは目を丸くして俺を見た。

「前の島でも散々世話になっちまったけどさ――今度も、またいっぱい世話になっちまうと思う。今までありがとうな。そんでもって改めて、よろしく」
「……ふふ、私の方こそ。よろしく、レン」

 ハイダラがほんの少し首を傾けて笑った。また飾りが鳴って、雨に似た音がする。俺もつられて少し笑おうとしたが、その途端に大きなあくびが出た。
 ……何も、こんな場面で出なくたっていいだろうに。
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