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False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。 キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。



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あと少しで太陽が水平線から顔を出す夜明け前。
すっかり白んだ空を見上げながら、俺は一人で浜辺にやって来ていた。
白い砂はまだひんやりとして素足に優しい。淡い波が寄せては返し、微かな跡を幾つも砂の上に残している。波音はごく穏やか、聞いているとどんどん眠くなってしまう。あまりにも心地よすぎるのだ。
浜辺の端では見事な花を付けた木の枝が大きく海へ張り出していた。風に吹かれて落ちた白い花びら、或いは花そのものが波に洗われてゆらゆらと漂っている。さっきからあたりに香る甘い匂いはこの花から発せられたものだろう。名前は何だろうか、と思いかけてすぐに、それがさして意味を持たない問いである事を思い出す。

この島で起きていた全てはもう停止し、終わってしまっていて、俺達はその終わりが信じられずにまだ島のあちこちに残っている。
何もかもが突然すぎて俺はどうすればいいのかまるで分からず、終わりを認めまいとして目を逸らし続けている。ああだがそれもいつまでもつことか! 大して長続きしないことはもうとっくに解っている。俺は停まってはいられない質の人間なのだから。

(だけど、もうすぐ夏だ。夏休みだってあるじゃないか)

頭の中で誰かがそう言った。
夏の二日間だけ行われていた『夏休み』、それが今年は少し長く開かれる。舞台となる浜辺も既にこうして開かれていて、島に残っていた人々が少しずつ集まり始めていた。
少しだけ長い夏休み。それはこの島で迎える最後の夏だから、だろうか。最後の夏に皆で良い思い出を、そういうことなのだろうか。
だったら全力で遊ぶだけだ。思い切り夏の日を謳歌してやればいい。
いつか遠い日のこととして思い出すために、鮮やかに色褪せないように、楽しめばいい。
幸いなことに俺には「この夏休みを一緒に過ごさないか」と言ってくれる人達がいた。だからこれからしばらくの間は、彼らと一緒に海辺で遊び回るつもりでいる。杖は大人気ない、だなんて馬鹿にするかもしれないが、遊びに年齢なんぞ関係ないじゃないか。

俺が一人でここにいるのはちょっとした「けじめ」だ。
陰気な考えや湿っぽい感慨に浸るのはここで一旦終わりだと、自分で自分にそう言い聞かせるために、俺は一人浜辺でぼんやりしている。
難しい事は本当に全部が終わってしまってから考えれば良い。


不意に目の前が明るくなって俺は顔を上げた。途端、鋭い橙の光に目が眩む。それで太陽が昇って来たのだと気がついた。
もう朝だ。
俺は一度だけ大きく溜息をついて立ち上がった。
遊び道具やら何やらを準備しなきゃならない。やりたいこともたくさんあるからその準備も進めないと。何しろ夏休みなんだから。
足についた砂を軽く払ってから、俺は歩き出した。



さあ、夏休みだ!
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