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False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。 キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。



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 幾度目かの微睡みから目覚めて、彼はぼんやりと辺りを見回した。
 どこだったか、ここは?

 ひとまず仲間達から距離を取らなければと、南を目指した事までは覚えている。地下2階の南側に地下3階への階段があった事も何となく覚えていて、そのために彼は南へ向かっていた。
 下に降りなければ、と、感じていたからだ。
 宝玉をどう使えば過去に干渉できるのか、そもそもどうすれば宝玉を使えるのか、彼には全く分からなかった。とにかく下に行けば何か分かるだろうとあたりをつけた。それがいつの間にか「下に降りさえすればいい」という思考に変容していたが彼は気がつかなかった。

 ところで本当にここはどこだろう。彼はまた周囲を見回す。
 ごつごつとした岩ばかりが見えるから山岳地帯であることに間違いはないようだ。魔方陣らしきものを遠目に見ながら通過した事も、微かにではあるが覚えている。
 しかし今「自分が具体的にどの辺りにいるのか」と言う事までは全く判らない。そもそも今の彼は地図さえ持っていなかった。地図は荷物の大半と一緒に仲間のもとに置いてきてしまっていた。

 肌寒いな、と思ったところでようやく、彼は青い上着を無くしている事に気がついた。ざっと周囲を確認するが、目に見える範囲にそれらしいものは見当たらない。よくよく自分の体を見下ろしてみると、左の太股にくくりつけていた革のポーチも消えていた。どこで落としたのか、まるで覚えがない。ポーチを失ったと言うことは、僅かながら携えていた荷物のほぼ全てを失ったのに等しかった。宝玉だけは、しっかりと持っていたのだけれど。
 これには流石に彼も、一瞬唖然とせざるを得なかったが――すぐに「まぁいいか」と思い直した。
 確かにまだ夜は冷えることもあるが凍死するほどでもないし(というより、彼はここ数日温度に対して非常に鈍感になっていた)ポーチには元々大した物は入っていない。
 気にするだけ無駄と判断した彼は、緩慢な動作で立ち上がり、ふらふらと歩き始めた。
 足取りは頼りなく、右に左に揺れながら無表情に歩む様は、さながら墓から化けて出た幽鬼のような有様だった。しかし彼自身がそれを気にしている様子はない。

 少し進んだところで、彼はぼろぼろに擦りきれた布を一枚見つけた。分厚くざらついたそれは、どうやら古くなったテントの一部らしいが、今となっては原型を想像することも難しい。
 彼はしばらく布切れを眺めていたが、やがて無造作にそれを手にとると、肩に羽織って再び歩き出した。上着がないのが多少なりとも心許なかったのだろう。

 時が経つにつれ、意識が拡散していく。
 思考は一つの物事に集中できず、熱に浮かされたようにぼんやりと広がるばかりだ。
 ただ、彼女の事を考える時だけ胸が踊った。
 その時だけ彼の、牙の覗く口元が笑みの形につり上がる。

 あと少し。
 あと少しだから。
 あと少しで幸せにしてあげられるから、
 だから――。




 何かを払い除けるように、ぶるり、と彼は首を振った。
 その拍子に彼の頭から抜け落ちたものがあったが、彼は全く頓着せずに去っていく。

 音もなく地に落ちたそれは、黒い羽毛の形をしていた。
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