False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。
キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。
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体が重い。うまく上がらない瞼を無理矢理こじ開ける。夜明け前の遺跡内が見える。空には偽物と思えないぐらい綺麗な朝焼けが広がり始めていて、よく分からない何かに押されて俺は溜息をついた。
ベルクレアとの連中との戦いで受けた傷がまだ尾を引いていて、睡眠や休憩をとってもなかなか回復しない。一度負けた時に体調がかなり悪化したのも回復が遅い原因だろう。
ただ、俺の場合は、少しだけ理由が違う。
(ああ本当、何やってんだ俺)
声に出さずに呟いて、沸き上がる自己嫌悪に横になったまま頭を抱える。この前の醜態を、まだ俺は引きずっている。
感情をあんなに露にしちまったのは久しぶりだった。しかも今回は最悪の形だ。我を忘れて掴みかかるなんて、みっともないにも程がある。大した攻撃もできないほど弱っていたくせに、俺は一体何をしようとしたのか。ハイダラ達が止めてくれなければ、今頃どうなっていたか分からない。
けれど。
(過去を操る、って、どういう事なんだろうか)
最近の思考はいつもそこに辿り着いてしまう。このところ酷く落ち着かないのもそのせいだ。
過去を操る――どこまで(俺の世界でも大丈夫なのか)? いつから(例えば俺がここに来る前の出来事とか)? どんな風に(過去に戻るのか、それとももっと違う方法なのか)? 自分以外の人間の過去も操れるのか(例えば、例えば、例えば――)?
気がつくとそんなことばかりを、考えている。
俺の世界には、今のところ過去を変えたり過去に戻ったりする魔法は開発されていない。いや、実際にはあるかもしれない。表沙汰にされていないだけで。
「あったとしてもおっかなすぎてとても表に出せんよ。私らには過ぎた代物だ」
かつてそう言ったのは俺の魔術の師匠だ。そう、似たようなことを話した事があったのだ。もう随分昔のこと、彼女がいなくなってしまって二年ほど経っていた頃。俺が先生に時間に関わる魔法について尋ねた時のことだ。
「おっかねーって、何で?」
「時間というものはいまだに不可解な点が多いのさ。むやみにいじくって何が起こるか全く予想がつかん。私自身は、時間の流れは不可逆だと考えている。時間は消費されるもので、使う側から消えて残らない。過去に戻るとして、もはや跡形もない場所にどうやって戻ると言うのだ。それをあれこれできるのはもはや神の域だろう。できたとしても果たしてどんな代償を支払う羽目になることやら」
そこまで言って先生は、釘を刺すようにこう続けた。
「――だからレンジィ、妙なことを考えるんじゃないぞ」
空が大分明るくなってきた。もう夜明けだ。俺はもう一度、大きく息を吐く。
(分かっています、分かっているんです、先生。貴女があの時言いたかったことも、俺の考えていることの無意味さも)
(けれどごめんなさい、どうしても俺はそれを考えずにはいられないんです)
朝は、もうそこまで来ている。
ああ、今日はしっかりしなければ。
ベルクレアとの連中との戦いで受けた傷がまだ尾を引いていて、睡眠や休憩をとってもなかなか回復しない。一度負けた時に体調がかなり悪化したのも回復が遅い原因だろう。
ただ、俺の場合は、少しだけ理由が違う。
(ああ本当、何やってんだ俺)
声に出さずに呟いて、沸き上がる自己嫌悪に横になったまま頭を抱える。この前の醜態を、まだ俺は引きずっている。
感情をあんなに露にしちまったのは久しぶりだった。しかも今回は最悪の形だ。我を忘れて掴みかかるなんて、みっともないにも程がある。大した攻撃もできないほど弱っていたくせに、俺は一体何をしようとしたのか。ハイダラ達が止めてくれなければ、今頃どうなっていたか分からない。
けれど。
(過去を操る、って、どういう事なんだろうか)
最近の思考はいつもそこに辿り着いてしまう。このところ酷く落ち着かないのもそのせいだ。
過去を操る――どこまで(俺の世界でも大丈夫なのか)? いつから(例えば俺がここに来る前の出来事とか)? どんな風に(過去に戻るのか、それとももっと違う方法なのか)? 自分以外の人間の過去も操れるのか(例えば、例えば、例えば――)?
気がつくとそんなことばかりを、考えている。
俺の世界には、今のところ過去を変えたり過去に戻ったりする魔法は開発されていない。いや、実際にはあるかもしれない。表沙汰にされていないだけで。
「あったとしてもおっかなすぎてとても表に出せんよ。私らには過ぎた代物だ」
かつてそう言ったのは俺の魔術の師匠だ。そう、似たようなことを話した事があったのだ。もう随分昔のこと、彼女がいなくなってしまって二年ほど経っていた頃。俺が先生に時間に関わる魔法について尋ねた時のことだ。
「おっかねーって、何で?」
「時間というものはいまだに不可解な点が多いのさ。むやみにいじくって何が起こるか全く予想がつかん。私自身は、時間の流れは不可逆だと考えている。時間は消費されるもので、使う側から消えて残らない。過去に戻るとして、もはや跡形もない場所にどうやって戻ると言うのだ。それをあれこれできるのはもはや神の域だろう。できたとしても果たしてどんな代償を支払う羽目になることやら」
そこまで言って先生は、釘を刺すようにこう続けた。
「――だからレンジィ、妙なことを考えるんじゃないぞ」
空が大分明るくなってきた。もう夜明けだ。俺はもう一度、大きく息を吐く。
(分かっています、分かっているんです、先生。貴女があの時言いたかったことも、俺の考えていることの無意味さも)
(けれどごめんなさい、どうしても俺はそれを考えずにはいられないんです)
朝は、もうそこまで来ている。
ああ、今日はしっかりしなければ。
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