False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。
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ハイダラ達と共に深い森を抜けると(敵に出会ってしまわないうちに)、今度は長い登りの地形になった。山岳地帯に入ったのだろう。ここに出る敵は他の地形と比べても段違いに強いと聞く。だからこそ今までは避けて通っていたのだが、今回は思いきって踏み入ってみることにした。
(以下は、俺が登りながらつらつらと考えたこと)
何故、以前はある程度向かい合おうとしていたこと――死んでしまった彼女について、今になって恐怖を覚えるようになってしまったのか。
理由は、割とはっきりしていた。俺が彼女の存在(らしきもの)を「側にいる」と認識してしまったからだ。それまでは、あれこれ言いながらもやはり彼女を「離れたもの」としてとらえていた。もう側にはいないのだから、隔てられてしまったのだから、俺なりに受け入れて乗り越えるしかないと考えていられた。
だが、ずっと側にいたとなると話は別だ。側にいて、俺を見続けていたとするならば、俺はどうすればいいのだろう?
ここでひとつ疑問がある。
とても大事な人に、知らぬ間に、四六時中自分の生活を見られていたとして、全く後ろめたさを感じない人間というものは果たしてどれくらい存在するんだろう?
少なくとも、俺は――後ろめたさで潰れそうになっている。
もちろん彼女も、常に俺の側にいるわけではないだろう。寧ろ気配を感じる頻度は一日の中でもごく少ない。「こちら側」にいないことの方が多いのかもしれない。
だが、それでも。
彼女を一人で死なせちまったくせに後を追う勇気も出せず、かといって乗り越えることもできずに、ぼんやりと生きているうちに死ぬに死ねない状態に陥り、そうなった原因であるこの島での生活を楽しんでしまっている俺を、彼女はどんな気持ちで見ているのだろう?
そう思うと、後ろめたくて仕方ない。
彼女が俺を見ている視界はどんなものだろう。
死者の視点は生きている俺には想像もつかない。一説には、生きている間には見えなかった様々なもの、あらゆるものが見える、らしい。これは昔知り合った死霊術師の言い分だが、どこまで本当なのか生きたまま確認する術は俺にはない。
だから彼女がどんな視点で、どんな気持ちで俺を見ているかは、確かめようがない。
つまるところ、俺の恐怖の根源というのは彼女そのものではなく、彼女への後ろめたさなのだろう。
彼女に対して悪いことをしているという感覚が、どうしても拭いきれない。死者である彼女にどんなことをしてやれるかも分からない。
ただ、俺が今こうしていること、何か行動しようとすること、それ自体に引け目を感じてしまう。
それでいて俺は、何かをせずには――進まずにはいられないという厄介な性質も抱えているものだから、余計に途方に暮れてしまう。
彼女に対してしてやれることといって思い付くのは……彼女の死を避ける手段、ぐらいだろうか。
その可能性の一端は、この島の
(ここで凄まじい唸り声がして、俺の思考は中断した)
山岳をある程度登りきったところで2頭の飛竜に出くわした。この島ではワイバーン、と呼ぶのだったか。
鳴き声と羽ばたきがとにかくやかましい。煩わしさに思わず溜息を吐く。
その息が視界の端でまた白く凍るのを見て、何故か頭の芯が冷えるような気がした。
(以下は、俺が登りながらつらつらと考えたこと)
何故、以前はある程度向かい合おうとしていたこと――死んでしまった彼女について、今になって恐怖を覚えるようになってしまったのか。
理由は、割とはっきりしていた。俺が彼女の存在(らしきもの)を「側にいる」と認識してしまったからだ。それまでは、あれこれ言いながらもやはり彼女を「離れたもの」としてとらえていた。もう側にはいないのだから、隔てられてしまったのだから、俺なりに受け入れて乗り越えるしかないと考えていられた。
だが、ずっと側にいたとなると話は別だ。側にいて、俺を見続けていたとするならば、俺はどうすればいいのだろう?
ここでひとつ疑問がある。
とても大事な人に、知らぬ間に、四六時中自分の生活を見られていたとして、全く後ろめたさを感じない人間というものは果たしてどれくらい存在するんだろう?
少なくとも、俺は――後ろめたさで潰れそうになっている。
もちろん彼女も、常に俺の側にいるわけではないだろう。寧ろ気配を感じる頻度は一日の中でもごく少ない。「こちら側」にいないことの方が多いのかもしれない。
だが、それでも。
彼女を一人で死なせちまったくせに後を追う勇気も出せず、かといって乗り越えることもできずに、ぼんやりと生きているうちに死ぬに死ねない状態に陥り、そうなった原因であるこの島での生活を楽しんでしまっている俺を、彼女はどんな気持ちで見ているのだろう?
そう思うと、後ろめたくて仕方ない。
彼女が俺を見ている視界はどんなものだろう。
死者の視点は生きている俺には想像もつかない。一説には、生きている間には見えなかった様々なもの、あらゆるものが見える、らしい。これは昔知り合った死霊術師の言い分だが、どこまで本当なのか生きたまま確認する術は俺にはない。
だから彼女がどんな視点で、どんな気持ちで俺を見ているかは、確かめようがない。
つまるところ、俺の恐怖の根源というのは彼女そのものではなく、彼女への後ろめたさなのだろう。
彼女に対して悪いことをしているという感覚が、どうしても拭いきれない。死者である彼女にどんなことをしてやれるかも分からない。
ただ、俺が今こうしていること、何か行動しようとすること、それ自体に引け目を感じてしまう。
それでいて俺は、何かをせずには――進まずにはいられないという厄介な性質も抱えているものだから、余計に途方に暮れてしまう。
彼女に対してしてやれることといって思い付くのは……彼女の死を避ける手段、ぐらいだろうか。
その可能性の一端は、この島の
(ここで凄まじい唸り声がして、俺の思考は中断した)
山岳をある程度登りきったところで2頭の飛竜に出くわした。この島ではワイバーン、と呼ぶのだったか。
鳴き声と羽ばたきがとにかくやかましい。煩わしさに思わず溜息を吐く。
その息が視界の端でまた白く凍るのを見て、何故か頭の芯が冷えるような気がした。
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