False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。
キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。
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昨日の夜、ワイバーンを張り倒した夜の事だ。
夜中に俺がうつらうつらと目を醒ました時、側の木に立て掛けておいた杖の石が妙な光り方をしていた。ちかっ、ちかっ、ちかっ、と、鋭く三回光ったかと思うと、今度はぼんやりとした長い点滅を、やはり三回。それを延々と繰り返している。
ロージャに取り付けられた石が光る理由は三つある。
一つ目は彼の感情と連動した場合。二つ目は俺の魔力を増幅させたり、術に共鳴した場合。そして三つ目は、彼の意思による場合。
今回のそれは明らかに意図的な光り方だったので「何か訴えたいのだろうか」とも思ったが、いかんせんその時の俺はあまりにも眠かったので、結局そのまま放置してもう一度眠った。
次の朝、俺達は山岳地帯の高台に座ってぼんやりとしていた。朝食を終えてはいたがまだ出発には早い時間だったからだ。今日は近くにある魔方陣まで到達できればよかったから、そんなに急いで出る必要もなかった。
朝の風は少し肌寒いものの空は穏やかな晴天で、俺達がいる高台からは島の周囲に広がる大海原が見渡せた。
「あー、いい朝だねぇ」
「本当に。少し冷えるけれど、晴れてはいるからね。散歩がしたい気分になる」
「散歩かぁ、それも良いな。この辺眺め良さそうだし」
並んでそんな事を話しながら、カディムがいれてくれた紅茶を啜る。最近は急に朝晩冷え込むようになったから、温かい飲み物はありがたかった。
飲み食いができないロージャは例によってカディムに遊んでもらっている(もとい、話し相手をしてもらっている)。彼がいてくれるお陰で食事時に拗ねなくはなったが、ロージャは何でこう子供っぽいのだろうか。俺より遥かに精神年齢が低い気がする。
そんな事を考えながら紅茶を一口飲み、息を吐く。また少し呼気が凍った。カップから立ち上っていた湯気もすぐに冷え、凍りつくのがわかる。何だかなぁ。
「うーん、やっぱり凍っちまうか」
「……息の事?」
声を潜めて尋ねてくるハイダラに、俺は苦笑いして頷いた。彼と彼の従者には、昨日のうちにこの「不調」を説明している。
「どうも変な感じでね、疲れてるからだとは思うんだけどさ。山も越えたし」
「雨露霜雪の制御がうまくいっていないのかな。とにかく、無理をしては駄目だよ?」
「ああ、ありがとな」
もう一度紅茶を口に運ぶ。暖かい液体が喉を下りる感覚にほっとする。俺が触れた物が片っ端から凍るわけではないからまだマシか。もしそんな状態に陥っていたらまともに飯も食えなくなる。そうなっちまったら探索を続けることはまず不可能だろう。
(それは避けたいよな、ほんとに)
俺が声に出さずに呟いていると、不意に「あ」とハイダラが声をあげた。
「ん? どしたの?」
「いや、何か、飛んでいるようだったから――」
ハイダラの言葉が途切れる。それにつられて顔をあげると、そいつは意外と近くにいた。
最初は木の葉か何かに見えた。近頃の寒さですっかり紅くなった葉が、風に吹かれて落ちてきているように見える。だが、すぐにそれが間違いであることに気がついた。
それは蝶だった。
橙がかった紅色の羽からきらきらと光る鱗粉が零れる。どう見てもただの蝶ではなかった。いや、そもそも生命ですらないだろう。こいつは――。
音をたてないよう、そっと左手を伸ばす。すると紅い蝶はまっすぐに俺に向かってきて、伸ばした手のひらに止まった。
蝶は俺の手の上でしばらくじっとしていたが、やがて音もなくその形を変えた。羽根を閉じたまま、はたり、と俺の手の上に蝶が倒れ込む。瞬く間にその姿は厚みをなくし、広がって、やがて綺麗な長方形をした封筒に変わっていた。裏返すと、紅い紙に銀のインクで俺の名前が書いてある。
「……手紙?」
「どう見ても俺宛だね、こりゃ」
誰の手紙かは分かっていた。こんな風変わりな手紙を送ってくる相手なんて、俺の知り合いには一人しかいない。……相変わらず凝り性な人だ。
溜息を吐きながら封を切る。白い便箋に見慣れた文字が並んでいるのが見える。その内容を確認しようとして
「え゛」
妙な声が出た。
ぎょっとしたハイダラが俺を見る。
「レ、レン?」
何度も何度も、その短い手紙を読み返す。しかし何度読み返してもそこに書かれている内容に変化はなかった。それでもなかなか手紙から目を離す事が出来ない。
手紙から視線を引きはがしてようやく、まともに声が出た。
「……ど、どうしようハイダラ」
訂正。震えまくってちっともまともな声じゃなかった。
「先生が、こっちに来るらしい」
手紙にはこんな事が書いてあった。
『レンジィへ
近々、様子を見にそちらに向かう。
久しぶりに稽古をつけてやるから覚悟しておけ。
フェダ・ガルサ・ロル』
……俺がおかしくなったのとほぼ同時期に先生が様子を見に来るだなんて、偶然にしたってあんまりだろう。
先生はさばさばしているようで意外とお節介だから、今の俺の状態を知られると逆に厄介な事になりかねない。もしも――これがマナの影響だったとしたら「そんなもん私が吸い出してどっかに放り捨ててやる」とか何とか言い出しかねないのだ。あまり迷惑はかけたくなかったのだけど、それにしても何でよりによって今なのか。
これじゃあまるで、見計らっていたような――。
そこまで考えたところで、昨日光っていたロージャの事を、ふと思い出したのだった。
夜中に俺がうつらうつらと目を醒ました時、側の木に立て掛けておいた杖の石が妙な光り方をしていた。ちかっ、ちかっ、ちかっ、と、鋭く三回光ったかと思うと、今度はぼんやりとした長い点滅を、やはり三回。それを延々と繰り返している。
ロージャに取り付けられた石が光る理由は三つある。
一つ目は彼の感情と連動した場合。二つ目は俺の魔力を増幅させたり、術に共鳴した場合。そして三つ目は、彼の意思による場合。
今回のそれは明らかに意図的な光り方だったので「何か訴えたいのだろうか」とも思ったが、いかんせんその時の俺はあまりにも眠かったので、結局そのまま放置してもう一度眠った。
次の朝、俺達は山岳地帯の高台に座ってぼんやりとしていた。朝食を終えてはいたがまだ出発には早い時間だったからだ。今日は近くにある魔方陣まで到達できればよかったから、そんなに急いで出る必要もなかった。
朝の風は少し肌寒いものの空は穏やかな晴天で、俺達がいる高台からは島の周囲に広がる大海原が見渡せた。
「あー、いい朝だねぇ」
「本当に。少し冷えるけれど、晴れてはいるからね。散歩がしたい気分になる」
「散歩かぁ、それも良いな。この辺眺め良さそうだし」
並んでそんな事を話しながら、カディムがいれてくれた紅茶を啜る。最近は急に朝晩冷え込むようになったから、温かい飲み物はありがたかった。
飲み食いができないロージャは例によってカディムに遊んでもらっている(もとい、話し相手をしてもらっている)。彼がいてくれるお陰で食事時に拗ねなくはなったが、ロージャは何でこう子供っぽいのだろうか。俺より遥かに精神年齢が低い気がする。
そんな事を考えながら紅茶を一口飲み、息を吐く。また少し呼気が凍った。カップから立ち上っていた湯気もすぐに冷え、凍りつくのがわかる。何だかなぁ。
「うーん、やっぱり凍っちまうか」
「……息の事?」
声を潜めて尋ねてくるハイダラに、俺は苦笑いして頷いた。彼と彼の従者には、昨日のうちにこの「不調」を説明している。
「どうも変な感じでね、疲れてるからだとは思うんだけどさ。山も越えたし」
「雨露霜雪の制御がうまくいっていないのかな。とにかく、無理をしては駄目だよ?」
「ああ、ありがとな」
もう一度紅茶を口に運ぶ。暖かい液体が喉を下りる感覚にほっとする。俺が触れた物が片っ端から凍るわけではないからまだマシか。もしそんな状態に陥っていたらまともに飯も食えなくなる。そうなっちまったら探索を続けることはまず不可能だろう。
(それは避けたいよな、ほんとに)
俺が声に出さずに呟いていると、不意に「あ」とハイダラが声をあげた。
「ん? どしたの?」
「いや、何か、飛んでいるようだったから――」
ハイダラの言葉が途切れる。それにつられて顔をあげると、そいつは意外と近くにいた。
最初は木の葉か何かに見えた。近頃の寒さですっかり紅くなった葉が、風に吹かれて落ちてきているように見える。だが、すぐにそれが間違いであることに気がついた。
それは蝶だった。
橙がかった紅色の羽からきらきらと光る鱗粉が零れる。どう見てもただの蝶ではなかった。いや、そもそも生命ですらないだろう。こいつは――。
音をたてないよう、そっと左手を伸ばす。すると紅い蝶はまっすぐに俺に向かってきて、伸ばした手のひらに止まった。
蝶は俺の手の上でしばらくじっとしていたが、やがて音もなくその形を変えた。羽根を閉じたまま、はたり、と俺の手の上に蝶が倒れ込む。瞬く間にその姿は厚みをなくし、広がって、やがて綺麗な長方形をした封筒に変わっていた。裏返すと、紅い紙に銀のインクで俺の名前が書いてある。
「……手紙?」
「どう見ても俺宛だね、こりゃ」
誰の手紙かは分かっていた。こんな風変わりな手紙を送ってくる相手なんて、俺の知り合いには一人しかいない。……相変わらず凝り性な人だ。
溜息を吐きながら封を切る。白い便箋に見慣れた文字が並んでいるのが見える。その内容を確認しようとして
「え゛」
妙な声が出た。
ぎょっとしたハイダラが俺を見る。
「レ、レン?」
何度も何度も、その短い手紙を読み返す。しかし何度読み返してもそこに書かれている内容に変化はなかった。それでもなかなか手紙から目を離す事が出来ない。
手紙から視線を引きはがしてようやく、まともに声が出た。
「……ど、どうしようハイダラ」
訂正。震えまくってちっともまともな声じゃなかった。
「先生が、こっちに来るらしい」
手紙にはこんな事が書いてあった。
『レンジィへ
近々、様子を見にそちらに向かう。
久しぶりに稽古をつけてやるから覚悟しておけ。
フェダ・ガルサ・ロル』
……俺がおかしくなったのとほぼ同時期に先生が様子を見に来るだなんて、偶然にしたってあんまりだろう。
先生はさばさばしているようで意外とお節介だから、今の俺の状態を知られると逆に厄介な事になりかねない。もしも――これがマナの影響だったとしたら「そんなもん私が吸い出してどっかに放り捨ててやる」とか何とか言い出しかねないのだ。あまり迷惑はかけたくなかったのだけど、それにしても何でよりによって今なのか。
これじゃあまるで、見計らっていたような――。
そこまで考えたところで、昨日光っていたロージャの事を、ふと思い出したのだった。
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