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False Islandのキャラブログ。日記ログとか絵とかネタとか色々。 キャラロールがぽんと飛び出ますので苦手な方はご注意を。



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「……南だな」

 地図にかけた追跡の術を眺めながら、小さい声でロルが言った。

「私にもこれ以上細かい情報は辿れないが――あいつはあれからずっと地下2階を南下し続けているらしい」
「外に出た形跡は?」
「今のところ見当たらん。外では私達に捕まりやすいと思ったのか、外に出る時間も惜しかったのか、とにかく外には出ていない」
「なるほどね。……それにしても、どうして南なんだろう」

 僕の口にした疑問に、ロルはお手上げといった様子で肩を竦めた。

「そればかりは、レンジィに直接聞くしかないな。南に何かあるのか?」
「……僕もはっきりとは知らないけど、狂った兄妹がいるらしいって噂がある」
「狂気か。……面倒な事になりそうだな」

 彼女の言葉に頷きながら、僕はため息を吐いた。


 レンジィがいなくなってもう3日目だ。僕らは一旦遺跡外に出て、あいつの気配を探してから再度遺跡に戻る事にした。
 僕と言えば、あいつの代理として人型で動くのにやっと慣れてきた。昔の姿とは少し違うけれど、まあ、そこは我慢しよう。問題は僕じゃなくてレンジィの事なんだから。
 僕とロルがいるのはレンジィが遺跡外で使っていた小屋だ。元々は拠点用として使っていたのだけど、最近は遺跡外でもハイダラの木陰にお邪魔してしまっていたから、ここはほとんど荷物置き場だった。
 レンジィが見つかるまでの間、ロルは遺跡には入らずにこの小屋に留まる事になった。僕を化けさせている魔法の維持とレンジィを捜索するための魔法を安定して使い続けるため、というのもあるけれど、彼女がいると魔力の気配だけでレンジィに気がつかれる可能性があるというのが大きな理由らしい。

「……でもさロル、あいつには『澪標』があるんだよ? 僕らでもすぐ感づかれるし、距離まで把握されると思うんだけど」
「私が来ている、と思わせなければ良い。レンジィは恐らく、お前達だけなら油断する。奴はお前が人になっていることまでは感知できないだろうし、ハイダラ達を信頼しきっている。そこに隙が出来る」
「……で、それに乗じて僕がぶん殴ってやれば良いわけだね」
「そう言うことだ」

 そこで言葉を切ってから、ロルは一旦地図にかけていた術を解除した。
 僕の方を見て言う。

「……随分荒れているな」
「まぁ、ね」

 わざと明るく言ったつもりの声が裏返った。畜生め、カッコ悪いな。

「気持ちは分かるが、落ち着け。焦ってもどうにもならんぞ」
「分かってるよ、それは。だけどさ、こんなに馬鹿馬鹿しいんだもの。荒れたくもなるだろう?」

 いらいらして、僕は足元に転がっていた毛布を蹴っ飛ばした。全然手応えがなくて、むしろこっちの足にまとわりついてきた。ああ、もう!
 大きく深呼吸する。どうにか気持ちが落ち着いてきたのを見計らって声を出す。

「……あいつはさ、周りに話を聞いてくれる人達がいたんだよ」
「ああ」
「それなのにさ、そう言う人達を皆置き去りにして、一人で勝手にどっか行っちまいやがってさ、何様のつもりなんだ、って感じ」

 落ち着いたつもりの自分の声が、だんだん大きくなるのが分かる。ロルは黙って僕を見ているだけだ。

「結局あいつは、自分の事しか考えてなかったんだよ。迷惑かけたくないとか何とか言って、周りがどう思うかなんてちっとも考えてない! 人を馬鹿にするにも程があるよ、悲しければ何をしたっていい訳じゃないだろう!」

 レンジィがグラーシャの死で受けた衝撃と悲しみは、まだ僕にはうまく理解できない。近い経験はしたけれど、僕の場合は「また会える」という期待があった。だから僕はあいつの悲しみを想像することはできても、理解することはできないだろう。
 けれど、それでも、あいつのしたことは許せない。
 自分の悲しみを盾にするような真似が気にくわないし、結局のところ、周りの話を全く聞いていなかったことにも腹が立つ。

「……そうだな」

 少しして、ぼそりとロルが言った。

「お前の言う通りだよ、ロージャ。だが、それは本人に聞かせてやることだ。ここで私に向かって怒鳴るよりな」
「う」

 自分が外に聞こえそうなぐらい大声を出していた事に気がついて、急に頭が冷えた。みっともない。
 ロルは少し笑って、それから自分の羽根を一枚引き抜いた。羽根は彼女の手の上で魔力を込められて、青く光っている。

「こんなものでいいかな。一枚持っていけ」
「え? もう貰っていたと思うけれど」

 この姿に変えてもらったとき、僕は彼女から紅く光る羽根を貰っている。
 僕が化けていられるのは彼女から魔力が供給されているからだが、それはその紅い羽根を通して送り込まれているらしい。
 僕の質問に、ロルは首を横に振って答えた。

「あれとは違う。こいつは身代わりだ」
「身代わり」
「お前の許容量を超えた魔法攻撃を受けた時、一度だけ身代わりになってくれる。だが、この島の敵との戦闘では使えんぞ。『決まり』に引っ掛かるからな」
「……レンジィ相手なら、使えるってこと?」

 魔法攻撃への身代わりとロルは言った。不意討ちで強力な魔法を食らうかもしれない事を想定している。
 島の『決まり』に則った戦闘であれば、決まりに沿った不意討ちは食らうかもしれないが、戦う敵の姿は実際の戦闘よりも前に確認出来る。
 だがそれが、『決まり』から逸れ始めた相手だったとしたら、どうなるか。


「あいつはもうほとんど島の『決まり』から逸脱している。もし戦う羽目になった時、対抗手段は少しでも多い方がいいだろう」

 ロルはそう続けてため息を吐いた。
 ……やっぱり、レンジィと戦う事になるんだろうか。
 逃げた時の様子を考えると、その可能性は高そうだ。足止めとはいえ、仲間を氷漬けにするなんてことは以前のあいつなら絶対やらなかった。今のレンジィはどんな行動に出るかまるで予想がつかない。

「……分かった。貰っておくよ」

 僕はロルから青い羽根を受け取って、紅い羽根と並べて上着の胸元に挿した。

「さて、結構長居しちゃったね。――そろそろ行くよ、ロル。次の探索の準備もしなきゃならないし」
「ああ、行ってこい。気を抜くなよ」

 そう言ってロルは戸口まで見送りに来てくれたけれど、別れ際に変な事を言い出した。

「ロージャ、このごろやたらと島が騒々しいと思わんか」
「え?」
「妙な気配がする。近々、何か起こるかもしれん。気をつけろよ、それまでにあいつを連れ戻せ」

 それが何の事なのか、僕にはさっぱり分からなかった。
 ただ、何かが起こってから混乱の中でレンジィを探す羽目になるのは流石に勘弁してほしい。
 それならば先に見つけるしかない。
 僕はロルに向かって頷いて、その小屋を後にした。

 地面を踏みしめる足の感触に目眩を覚えながら(何せ自分の足で歩いた事自体が久しぶりだ)、ぼんやりと思う。
 彼と戦いながらでも、あの事は伝えられるだろうか。
 ……ちゃんと説明できるよう、今のうちから練習しておこう。心の中で。
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